【SPIN話法】圧倒的なヒアリング力で成約率を高めるフレームワーク

ヒアリングスキルを高めたいなら「SPIN話法」

遥か昔の私がまだ社会人1年目だった頃の大きな勘違い。

それは「トップセールスとは、次から次へと言葉が繰り出されるマシンガントークができる人」という勘違いです。

少しでも営業職に携わったことのある方ならお分かりの通り、商談の場で一方的に喋りすぎる営業パーソンはその営業センスに疑問符がつきます。

なぜなら営業職とは「顧客の課題・ニーズを解決する仕事」

一方的に間断なく喋り続けていては、顧客の課題をキャッチするどころか顧客が口を開くチャンスも自ら潰してしまいます。

商談は資料の発表会や自己満足の場ではないと言うことですね。

ではトップセールスはどのようにして商談を行っているのか。

それは「顧客を理解し、顧客に合わせて伝える力」=ヒアリング力をふんだんに活用しています。

一方的に自社商品説明を熱弁する商談は単なる「押し売り・売り込み」になってしまいますが、顧客の状況・要望を的確にヒアリングし、それに追随した現状の問題提起をし、それらを解決できる自社商品の説明を行うことで、初めて「商談」が成立します。

今回はそんな商談の際のヒアリングにおける質問プロセスである「SPIN話法」を解説していきます。

■SPIN話法

S・・・Situation(状況質問)

P・・・Problem(問題質問)

I・・・Implication(示唆質問)

N・・・Need-payoff(解決質問)

以前解説した「PREP法」と同じくそれぞれの頭文字から構成される体系化された営業手法ですが、PREP法はどちらかと言うと「発信(質問に対しての回答/顧客への提案)」であるのに対し、SPIN話法は「受信(質問を投げかける/提案するために聞く)」という点で異なります。

是非多様なトークスキルを携え、凡庸な営業パーソンとは一味違うハイレベルな商談を実現させましょう。

「PREP法」の解説はこちら⇓

S・・・Situation(状況質問)

はじめの「S」はシチュエーション、いわゆる「状況」の質問です。

いざ提案するとなってもどんな課題を解決すれば良いのかこの段階ではわかりません。

そのため顧客の課題の土台となる、現状把握をまずはじめに行います。

■例

・現在御社はホームページをお持ちですか?
 (ウェブ制作会社/BtoB)

・田中さんは毎日お一人で畑作業をされているのですか?
 (マンション建設会社/BtoC)

P・・・Problem(問題質問)

第2ステップとしてプロブレム、前述の状況を鑑みた「問題」の質問に移ります。

そしてここは非常に重要です。

なぜならこのステップでは、既に顧客の中に存在する「顕在ニーズ」ではなく、顧客が未だ自覚していない「潜在ニーズ」を洗い出す作業であるためです。

✓顕在ニーズ・・・メルセデス・ベンツを買いたい

✓潜在ニーズ・・・見栄を張りたい/所有欲を満たしたい/煽られたくない/節税対策をしたい

上記の場合、顕在ニーズしかヒアリングできていなかったらメルセデス・ベンツ以外のご提案はできませんが、潜在ニーズまで深堀りしてヒアリングできている場合はBMW、アウディ等、ご提案の選択肢が広がります。

このように顧客が自覚していない潜在ニーズをヒアリングし掘り起こすことで、案件の取りこぼしや商談の空振りを防ぐことが可能となります。

■例

・ホームページが無い場合、オフラインだけでの集客は大変ではないですか?
 (ウェブ制作会社/BtoB)

・まだまだお元気そうに見えますので先のことだと思いますが、将来的にこちらの畑はどうするか決まっているのですか?
 (マンション建設会社/BtoC)

I・・・Implication(示唆質問)

第3ステップはインプリケーション、「示唆」質問です。

示唆質問とは、1つ前のステップでの「問題」が重要であることを認識していただくための質問です。

示唆質問の投げかけにより、顧客自ら潜在ニーズにおける必要性・緊急性を認識します。

■例

・近年のデジタル化推進の動きも相まって、これからはウェブでの集客が主流になりそうですね。長期的に捉えたら今のうちから他社に先を越されないように、主要集客経路をオンラインにシフトしたほうが良いと思いませんか?
 (ウェブ制作会社/BtoB)

・近頃相続が発生した際に納税のために急いで畑を売却検討し、二束三文で買い取られるケースが増えていますね。せっかく何代も受け継いだ資産であるため、計画的に次世代に承継する準備を始めても良いのではないでしょうか?
 (マンション建設会社/BtoC)

N・・・Need-payoff(解決質問)

最後のステップはニードペイオフ、「解決」質問です。

現在の状況を鑑み問題提起した後、そちらの重要性を認識した上で、最後に問題を解決できるメリットを把握していただくための質問です。

このプロセスにより顧客の課題解決のイメージが明確化すると共に、営業パーソンとしてもスムーズに自社の商材説明に移ることが可能となります。

■例

・まずはホームページを作成して既存顧客に告知することでこれまでと異なるアプローチができそうですね。またウェブ広告と組み合わせることでこれまで接触できなかった新規の顧客の獲得も実現すると思いませんか?
 (ウェブ制作会社/BtoB)

・無計画が故に大切な資産を売却する羽目にならないように、現時点で一度こちらの畑はどんな活用方法が最適なのか考えてみませんか?また相続発生時の想定売却価格よりもどれだけ金額的なメリットがあるか計算してみませんか?
 (マンション建設会社/BtoC)

おわりに

以上が商談の成約率を飛躍的に上げるヒアリングスキル「SPIN話法」となります。

ご覧いただいたように、やはり商談で最も大切なことは「相手の話を聞く」、これに尽きます。

SPINの各質問で顧客が自ら考えることにより、自発的なニーズ、またそれに対する解決方法が芽生えます。

この場合概ね、営業パーソンが話す比率は「3(営業):7(顧客)」もしくは「4(営業):6(顧客)」程が理想的です。

「普段緊張して必死に自社サービスの説明ばかりしてしまう」「自分はトークスキルがあるから押し売りできる」とお考えの方は、今一度ヒアリングの意義を振り返り、是非SPIN話法を用いて商談に臨んでいただきたい次第です。

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